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What's JAPAN SENSES
profile
ありそうでないもの。 Always but Never Been「あおもり藍」。その響きを耳にした鈴木卓爾の脳裏には、いつか故郷の資料館で見た、刺し子の野良着が甦った。だが、伝統の染色技法は、想像をはるかに上回る進化を遂げていた。藍葉を粉末状にしたことで、生地に浸透し、色の陰影も鮮やかだ。「ありそうでないもの」をコンセプトとして掲げ、ベーシックやスタンダードに抑制の利いた意外性を加えて独自のテイストを築き上げてきた、ts(s)。鈴木主宰のこのブランドと、生まれ育った地の藍染めが、すでに在る価値を今という時代にモディファイしながら、新たな創造に挑んでいる点で重なるのは、偶然だろうか。今回、伊勢丹メンズ館が呼びかけた「〝JAPAN BLUE〟あおもり藍クリエーション」には、30超のブランドが参加している。鈴木は無地の生地ではなく、自身のコレクションの中でも特に支持の高いマドラスチェックのアイテムを選び、後染めを試みた。一度完成させたものに、さらに手を加えようというのだ。赤、黄、青、白の格子柄が、藍をまとい、色調を変えていく。その微妙な変化を追い求めた末のジャケット、シャツ、ショートパンツ。懐かしさは新鮮なファッションに変換され、藍染めの固定概念を覆すといってもいいほど、洗練されたトーンに仕上がった。単品でも、他ブランドの服とも合わせても使えること。スタイリスト時代から変わらぬ信念は、この新作にも貫かれている。また、賞賛の声が上がるのだろう。わきまえのある面白みを愛してやまない、国内外のファンから。〈ts(s)〉ジャケット48,600円 / シャツ23,760円 / ショートパンツ27,000円(いずれも税込)伊勢丹新宿店メンズ館6階 / コンテンポラリーカジュアル
Always but Never Been
'Aomori Blue.' Hearing this reminded him of the embroidered work clothes he once saw at a museum in his hometown. But the traditional technique for indigo blue dyeing has evolved beyond imagination. Finely-grounded indigo leaves penetrate fabric and create deep and vividly contrasting levels of color. Takuji Suzuki has developed a unique taste communicated through his brand ts(s), offering clothing founded on the concept of “Always but Never Been” and that add an element of unpredictability to basic styles. Both Suzuki’s brand and his hometown’s indigo dyeing techniques take on the challenge of creating something new by evolving existing values for the present. Is this just a coincidence? More than 30 fashion brands are taking part in this year’s Isetan Men’s '‘JAPAN BLUE’ Aomori Blue Creation.” Suzuki did not pick plain fabric clothes but instead chose madras plaid items, some of the most popular in his collection, and tried piece dyeing. He decided to add touches to previously complete items. A plaid of red, yellow, blue and white changes color tones after being dyed indigo blue. Jackets, shirts, shorts—all his products reflect his tenacious quest for a subtle changes in colors. Simple, nostalgic items are transformed into modern pieces. Their sophisticated style is almost a reversal of the image of typical indigo dyeing.These are clothes that can be worn by themselves and that can be styled with other brands. This concept, which Suzuki has kept since the beginning of his career as a stylist, runs through his newest works. Fans around the world continue to celebrate the sense of playful sophistication of the ts(s) brand.
INTERVIEW
ブランドコンセプトに掲げている「ありそうでないもの」について教えて下さい。
トラディショナルをベースに、スポーツ、ミリタリー、ワークのテイストをブレンドしています。「ありそうでないもの」とは、スタンダードでありながら、他にはない、自分なりの考えやデザインを意外性として入れ込んでいくということ。あからさまではなく、よく見るとわかるくらいがいい。デザイン性が強くなりすぎない、行きすぎない意外性ですね。形で遊んだら、素材は抑える。素材で遊んだら、形は抑える。大前提は、ベーシックなくくりからはみ出さないこと。軸足を、そこに残すことですね。
Can you tell us about your brand concept, “always but never been”?The clothing is based on traditional styles, with elements of sports, military and work fashions blended in. They embody a dignity and unpredictability in otherwise standard clothing that cannot be found anywhere else, while still being basics.
スタンダード、ベーシックとは、どういうものを指すのでしょう?
スタンダードやベーシックって、なんとなくはイメージできるでしょう。でも実際は、どこからどこまでがスタンダードか、何から何までがベーシックか、必ずもめるんですね。それは、みんなの中で違うから。形があるようで、ない。スタンダードは体系化できるかもしれないけれど、ベーシックは本人にとっての領域なんです。洋服を着ていく中で、自分の中でのくくりというか、そういうものができてくる。そこに入れて、出して、そこからはみ出ないとか、これがあるから、こう考えてとか。それが僕のつくり方です。ベースみたいなものは、ある程度の年齢になるとできてくる。それがキャリアなのかな。若いうちは、やんちゃでいい。いろいろ試して、着て、遊んで。流行に流されるだけ流されて。そうしないと、小さな器になってしまう。ある年齢になった時に、なにかしらベースができてきたら、ファッションはもっと楽しいはずです。
What do you mean by standard and basics? Standards may be systemized, but basics are personalized styles that come to each individual through trying different things.
スタイリストやエディターのご経験が、洋服づくりに影響していますか?
いろいろな洋服を見て、触って、自分でも着たり、試したりしてきたので、洋服の流れや自分なりの解釈は、その時代にできたと思います。人に着せるという作業の中で、組合せの面白さや、こう考えればこうも着られるということをたくさん実感しました。その頃から、ちょっとした意外性やベーシックではあるが面白みのあるスタイリングを常に考えていました。それが洋服をつくるようになった今も、変わらずに続いているんですね。
Have your experiences as a stylist and an editor had any influence on your clothing design? I have seen, touched, worn and tried all kinds of clothes, so I’ve acquired my own interpretation of clothes through my careers. I’ve always had this idea of a style with a touch of unpredictability and fun despite being basic. That still hasn’t changed.
ts(s)が、シーズンごとにテーマを設けない理由は何でしょう?
シーズンはエンドレスでつながっている、という考え方なんですね。今回はこういうテーマでこういう風にしようとか、テーマで縛り、そこからものを考えることは一切していません。とはいえ、いろいろな刺激も受けるし、影響もされるので、色や柄や素材には変化が出ますが、それも自分がやりたいことの延長上、つまり、自分の中にすでに出来上がっているベーシックな領域に新たに加える解釈として、その時その時でいろいろなことを試しながら、あくまでts(s)のラインの「途中経過」として発表している意識を強く持っています。
Why does your brand ts(s) not have a theme for each season? To us, seasons are continuous sequences. We do try out different things at one point or another along the sequence, but we have a strong sense that they are all representing the journey of the ts(s) line.
「あおもり藍」の第一印象はいかがでしたか?
僕自身、青森県出身なんです。弘前で育ちました。地元に、藍染めがあることも知っていましたし、今は縮小していると思いますが、専門の業者さんもあって。あの野良着の、刺し子の、染め込みですね。ですから、「あおもり藍」と聞いた時に、真っ先にそれかなと思いました。いろいろお話を聞いたら、そういうのを元にして、新たに開発されたものだった。粉末にして工程の効率を上げたり、抗菌性や防臭性なども注目をされていて、昔より扱いやすくて、持続性も期待できるものになっている。もともとあったものを更に進化させている。そういう点がすごく日本ぽいっと感じました。実際に染めてもらっても、きれいに染まりました。
What was your first impression of “Aomori Blue”? I myself am from Aomori. It reminded me of the work clothes I used to see there. But the newly made “Aomori Blue” clothes had advanced from the original. That, I thought, was very Japanese.
マドラスを染めたのはなぜでしょう?
藍染めはデニムなどがイメージしやすいのですが、今回、いろいろなブランドが参加することを考えると、僕がそれをやっても面白くないなって思ったんです。それで、無地で染めるのではなく、柄物で深みを出すことにしました。春夏に人気のあるマドラスで。マドラスは風合いが好きで、インド生産の素材を使っています。後染めをかけて、柄行きに深みを持たせることは今までも何度かトライしていて、評判もよかったし、藍染めでやってみるのも面白いと思いました。ただ、元の柄をつぶしすぎてもいけないし、元の柄のままでもいけないので、段階をつけて、染めのテストを繰り返しました。上からかぶせてきれいになる場合とならない場合があって、柄の種類も選びぬきました。藍染めの印象として、伝統的すぎないものにしたかったんですね。モダンな感じ、今までにない見え方がいいなと。
Why did you dye the madras plaid? Denim is probably the typical fabric for indigo dyeing, but I wanted to create depth using plaid fabric. I didn’t want to erase the original plaid, but couldn’t leave it unchanged, either. So I spent a great deal of time and effort selecting the plaid designs and experimented with the process through trial and error. I didn’t want to make something that had too much of a traditional feeling.
このアイテムの「意外性」は、どのあたりでしょう?
一つは、サイズ感。そして、シャツとジャケットとボトムがある点です。フルアイテムでも、インナーとアウターでも、セットアップでもいい。単品使いでもいいんです。それはつくる時にいつも気にしていることで、僕のブランドだけでももちろんそれなりにはなりますけど、他のものと組み合わせてきちんと使えるようにしたい。独りよがりになって、そのブランドだけじゃないと使えないのは、スタイリストだった感覚からしても「ない」。何か新しいデザインを起こす時には、こういうボトムを合わせたり、インナーはこう着ればいいなとか自分なりにシミュレーションします。だからこのくらいの丈にしよう、こんな質感がいいというように、イメージしながら落とし込んでいきます。
What would be the “unpredictability” in the madras plaid items? The balance in size. Also that the range includes shirts, jackets and pants. You can wear them all, just the inner and the outer, or as a set. Or you can just wear a single item. I reject the idea of clothes that don’t go with other brands, even from my experience as a stylist.
ターゲットはどんな世代でしょう?
よく聞かれるんですが、ターゲットはありません。若い人でも、ある程度の年齢の人でも、ベーシックなものを理解されていて、それに少し遊び感が欲しい人であれば合うと思います。若い人にも、ある程度の年齢の方でベーシックを知り尽くしている方にも、行き過ぎない遊びが欲しいという方がいらっしゃる。年齢より、志向でしょうか。
What age group are you targeting? I don’t set a target age. Anybody who wants just the right touch of playfulness can wear these clothes. It probably isn’t a matter of age but of taste.
日本人のものづくりについて、どうお考えでしょう?
日本のものづくりは、今、海外からほんとうに注目されていると思います。僕らのように洋服という形でも興味を持ってもらえるし、素材や手法の評価も高い。海外の方も日本のものづくりの情報にも通じているし、関心も高いんでしょうね。世界中の誰もが岡山のデニムを知っている。シャツ生地にしても、海外ブランドもわざわざ日本でつくることも増えています。国ごとに流行が生まれるというより、グローバルに動いていて、そこに日本人のものづくりが絡んでいる感覚があります。雑誌のスタイリストをやっていた時には、国別のファッションスタイルを誌面にすることがありましたが、今は通用しないでしょうね。MADE IN JAPANへの信頼感も高まっていて、僕もプロダクションは日本で行っています。それが、海外の目には確認の材料になっているんです。あおもり藍もそうですけど、日本人は昔からあるものを今使うためにモディファイしたり、新しいアプローチをしたりが得意だし、好きだし。生地をつくる方と話しても、それを強く感じます。何か面白いこと、新しいこと、違うことをみんなが考えている。だから、面白い生地が生まれるんですね。洋服をつくるサイドも、その意識は高いと思います。例えば、難しいヴィンテージものの扱いにしても、うまくこなすでしょう。何かする時に、調べたり、研究したりする姿勢も凄いですからね、日本人は。
What are your thoughts on Japanese craftsmanship? Japanese craftsmanship has become a global trend, and is incorporated here and there.  Japanese are good at modifying things that have existed for a long time into something new that’s suited for modern life, and taking new approaches, and we actually enjoy doing it. I really admire the attitude of Japanese people, always thinking, examining and researching something interesting, new and different.
「JAPAN SENSES」についてご意見をいただけますか?
洋服の世界でもフラットに、いいものはいい、という評価が根づいてきています。イタリア製だから、フランス製だからいいのではなく、イタリアのこのブランドのこれはいいとか、日本のこれはいいとか、そういう感覚やお客さまの理解度が上がっています。その中で、日本のいいものを取り上げる活動を三越伊勢丹がすることは、時流に合っていると思います。無理やりな、ネオジャパネスクのような姿勢ではないところが、見ていて分かります。冷静な目で、日本のいいところをピックアップしようとしている。海外からのお客さまも多く、日本のファッションが今どうなっているのかが一目瞭然の百貨店がインフォメーションする、という点に非常に意味があるのではないでしょうか。
What is your opinion of Isetan’s “JAPAN SENSES”? Rather than being some kind of forced Neo Japanesque thing, it subtly illuminates the good parts of Japan. I’m very interested in that department stores that attract a lot of foreign customers and show them the latest Japanese fashion trends are the ones doing this kind of promotion.
「変わる、その先へ。」は、どう響きますか?
百貨店が出すメッセージは、どちらかというとお客さまに対しての提案やその時の流行をプレゼンテーションするものが多い印象があります。その中で、自問自答していることが新鮮に映ります。そういうのはないし、それができるのは、ファッションで最前線を走っている三越伊勢丹だからでしょう。そうでないとカッコ悪い。現状維持ではなく、さらにその先へ、という姿勢も、自らのポジションを捉えていると思います。
How does the message “Ahead of change” resonate with you? It is a fresh idea in a sense that it is not making a proposal or presenting the latest trend, but rather poses questions. Also the attitude of wanting to move further, not remaining in the same place, is something that resonates with where I am.
ブランドの将来についてお聞かせください。
自分のやり方で洋服をつくり始めた時、日本のオーダーだけでは足りないと感じました。解決法はふたつで、日本でもっと売れる工夫をしたものづくりをするか、もしくは自分の考えを変えずに日本以外でも売るか。僕は後者の「出稼ぎ型」を選んだんですね。ミラノやNYで売っているからカッコいい、とは思いません。今、海外の店舗がものすごく魅了的かどうかは微妙ですし、クオリティと自分のつくりたいモノへの理解度は日本の方が遥かに高い。一方で、どこの国にもそれなりに理解してくれる人がいることもわかりました。できるだけ多くの人に見せれば、より多くの理解してくれる人も発見できると。だから、今はいかに多くの目に触れるか、どうすれば自分のものづくりへの賛同者、票を投じてもらえるかを考えています。ですから、できるだけあちこち持って行く。これからも、海外の展示会に参加すると思います。
Can you tell us about the future of your brand? If we can show what we offer to more people, we will find more people who understand our brand. Right now I’m thinking of a way to create more opportunities to present our work and gain supporters. We plan on continuing to participate in overseas shows as well.
お兄さま(エンジニアド ガーメンツ デザイナー 鈴木大器氏)とは?
兄が先に洋服に興味を持って、3つ違いで仲も良かったので、僕も興味を持ちました。学生の頃は、兄の後をついて教えてもらいました。他の人より手軽に情報も手に入るし、いろいろショートカットしているうちに、やや早熟に、自分のことや進みたい道もわかってきたんですね。兄はお店で働いて、バイヤーになって、最終的にはつくる道へ。僕は専門学校に入って、スタイリストになって、雑誌つくって、洋服をつくるようになりました。一時期、道は別れましたけど、今は同じ。つくるところにいます。似ているところも、そうでないところもあります。お互いの洋服を見ながら「らしいね」と言ったり。会えば洋服の話になります。兄弟だけど、同志のような感じでしょうか。洋服というものを共有してるような。
What kind of relationship do you have with your brother Daiki Suzuki, the designer of ENGINEERED GARMENTS? Whenever we meet, we talk about clothes. We are brothers but also more like comrades; comrades sharing a spirit of “clothes.”
ありがとうございました。 Thank you very much.
ABOUT PROJECT
今回は青森県内の契約農家で栽培されている藍葉を使用し、独自の製法による生産工程を用いた“あおもり藍”に注目しました。ファッションシーンを牽引してきたデザイナーやクリエーターのクリエイティビティと日本伝統の藍染めが織り成す趣深い今回のコレクション。ウェアはもちろん、シューズやバックに至るまで、幅広いラインナップをご用意いたしました。
MIHARAYASUHIRO/113,400円(税込)伊勢丹新宿店メンズ館2階/インターナショナルクリエイターズ、COSMIC WONDER Light Source/24,840円(税込)伊勢丹新宿店メンズ館2階/インターナショナルクリエイターズ、 MARGARET HOWELL/12,960円(税込)伊勢丹新宿店メンズ館6階/コンテンポラリーカジュアル、BLUE BLUE/62,640円(税込)伊勢丹新宿店メンズ館6階/コンテンポラリーカジュアル
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