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What's JAPAN SENSES
profile
やわらかな意志。A Flexible Mind シーズン毎にコレクションのテーマが変わる業界にあって、一貫して「アウトドア」を掲げてきた、相澤陽介。アウトドアは、グラフィックデザイナーだった父の嗜好だった。ネットのない時代に、世界中から目に適うアイテムを探し出し、自分だけのスタイルに昇華し、愉しみ尽くす。ものづくりの師と仰ぐ父を魅了した価値観は、ファッション界に進んだ息子の真ん中に位置し続けている。今回、伊勢丹からのオファーは、小松精練が実現した、極めて困難とされていたナイロン地への高精度デジタルプリント。小松精練は、海外ブランドの仕事でも最初に挙がる名前だ。一方、柄はリバティ、と聞いて、相澤は困惑した。何より素材が要と信じるから、柄も必ずオリジナルで起こしてきた。しかも、密な花柄を実用的なメンズウエアに定着できるだろうか。ふと思う。リバティ社は、テキスタイル出身の自分がもしその道に進んでいれば、最終目的地になったに違いない。受け入れるなら、最大限に。それも、相澤の譲らぬ考え方だ。膨大な柄見本から一点選びぬくと、普段通りに全工程をイメージして、設計図ばりのスタイル画を描いた。「僕ら世代は便利に慣れすぎている」「手を動かさないと、つくるものが同じ顔になる」そうつぶやく姿は、ひたすら鉛筆を走らせた父と重なる。ひと目で卓越した技術がうかがえる生地が届いた。一歩踏み出した作品は、またも内外の話題をさらうのだろう。さて、どう映るか、天上の父の目には。
A Flexible Mind In an industry where collection themes change every season, Yosuke Aizawa has consistently focused on the outdoors. His graphic designer father had a fondness for the outdoors. In the days before the Internet, he took great pleasure in seeking out items from around the world that suited his taste and transforming them into a personal style. Aizawa looked up to him as a creative mentor and, having entered the fashion business, the son continues to hold the values that appealed to his father close to his heart. The present commission from Isetan features high-precision digital printing on nylon, an extremely difficult process made possible by Komatsu Seiren ? the first name that springs to mind for this kind of work, even among foreign brands. Aizawa, however, was perplexed when he first heard that he would be working with a Liberty pattern. With the belief that the material matters more than anything, he always made products with original patterns. Now, not only did he have to work with someone else’s design, but the design was a dense floral pattern. How could he adapt it to a practical menswear garment?Then it struck him: he had started out in textiles, and if he had continued down that path, he surely would have ended up with a company like Liberty. This was something he could do. And if he was going to accept it, he would put everything he had into it ? that is one of Aizawa’s unwavering beliefs. He singled out one point from an enormous pattern sample, then ? just like any other project ? he pictured the entire process and drew a blueprint-style fashion plate. Muttering to himself that “Our generation has gotten too used to convenience” and “If you don’t work with your hands, everything you make ends up looking the same,” he looked just like his father, his pencil moving steadily across the page.When the printed fabric arrived, the quality of the skill behind it was obvious at first glance. It was a groundbreaking item ? one that would surely get people talking, at home and abroad. But what would his father up above think of it?
INTERVIEW
なぜ、一貫して「アウトドア」なのでしょう?
ブランドを立ち上げる前に在籍していたコレクションブランドでは、毎シーズン、テーマが変わるんです。今シーズンはミリタリー、次はトラッドというように。中には自分にはわからないテーマもありました。それで、いつかブランドを持ったら、ほんとうに好きなジャンルに特化しようと思ったんです。アウトドアは、亡くなった父の影響です。ちょっと釣りに行くのにも、ウエアもアイテムもほんとうに好きなものを手に入れて、徹底的にファッションとして楽しむ。そんな風にアウトドアと向き合い、自分のスタイルとする様子を子供の頃から見てきました。メールオーダーで洋服を買ってもらったりして。そのうちに、強く興味を持つようになったんです。ブランドをスタートさせたのが20代後半だったので、そこからきちんとものづくりができるレベルまでの新しい興味って生まれづらいでしょう。それで、アウトドアをつくるのではなく、アウトドアをファッションにしようと。自分が好きだったものを、さらにどんどん見方を変えながらやってみようと。先日招かれたピッティウォモも、海外の多くのブランドでアウトドアウエアをベースにした物が多かった。完全に一つのスタイルとして、解釈も変わってきています。これからは、アウトドアウエアの技術を養わないとフェイクになってしまう。ものづくりにさらに神経を使うようになりました。
Why have you consistently focused on the outdoors? l really wanted to specialize in a genre that I liked. The choice of the outdoors was influenced by my late father. Having launched the brand in my late 20s, it was too late to discover a new interest that would inspire me to create things in that style; it had to be something familiar. But rather than creating outdoor wear, what I wanted was to turn outdoor wear into fashion.
作品には、着る人をとこと考えたリアルクローズ、という印象があります。
ブランドを着ない方がカッコ良く見えることもあると思うんです。昔、デニムに白Tがいちばんだったように。ブランドの服と、洋服に興味のない人が手に取る服とでは、価格差も大きい。その差をクルマにつぎ込む人もいれば、食につぎ込む人もいて、僕はそれと同列で洋服を考えてるんです。必要性だけなら軽自動車でいいし、燃費がいいということが付加価値になりますが、もっともっと楽しみたいとなると、クルマのチョイスもどんどん変わってくるように。自分達の洋服に、リアルクローズ+楽しむ、という考え方をどう入れていくか。着る人のことを考えている。そう感じていただけたら、うれしいです。
Your work gives the impression of real clothes that are made with the person wearing them in mind. There’s a big price difference between brand clothing and clothes worn by people with no interest in fashion. I want to create added value which justifies that difference. I’m always thinking about how to incorporate the concept of “real clothes + fun.”
素材についてはいかがでしょう。
僕の中では、洋服は「最高の嗜好品」。嗜好品をつくるのにいちばん重要なのが、素材なんです。例えば陶芸をやるとして、出来合いでセットされた土でろくろを回すだけだったら誰でもできるけれど、ほんとうにいいものをつくろうとするのなら、その土がどういうものなのか、産地を調べたりすることから始めるべきでしょう。大学ではテキスタイルを専攻して、糸の紡ぎ方や染色の方法を勉強しました。技術や知識を徹底的に込めなければ、嗜好品としての完成度は高くなりません。アウトドアというコンセプトに加えて、技術的なものをしっかり持つ、ということを自分のスタンダードとしています。
What about materials? Clothing is the ultimate luxury goods. And when you make luxury goods, the material is most important. I majored in textiles at university and studied techniques for spinning thread and dyeing. Unless you put your knowledge and skills into every aspect of an item, it won’t achieve the high quality level of luxury goods.
リバティプリントは初めて手がけられたとか?
柄物は、必ず自分達のオリジナルでやってきました。リバティプリントを使ったこともありません。リバティ社は、膨大なテキスタイルをつくっているし、テキスタイルに特化した素晴らしい会社だと思います。新しい柄の提案を毎シーズン繰り返すことは、すごいことだとも。僕自身、テキスタイルデザイナーになりたいという気持ちが強かったので、ファッションに進まなかったら、リバティは最終的な目標値の一つだったかもしれません。今回は伝統的な柄をデジタルプリントするという点が、自分がやっていること、つまり前衛的なものから古いものまでをうまくミックスしていきながらアウトドアウエアの新しい見え方を探っていくことと、非常に共通項が多いと感じました。
I heard that this is the first time you’ve worked with Liberty prints. This is a traditional pattern that has been printed digitally. In that sense, I feel like it has a great deal in common with what I do ? in other words, seeking a new perspective on outdoor wear through skillfully combining everything from avant-garde creations to old things that my father collected.
そのリバティプリントが小松精練でプリントされました。
繊細に色が出ていて、小松精練さんの技術が一発で出ていることがわかりました。小松精練さんは、オーダーしてからのスピードやイメージした通りの生地が届くことを含めて、信頼性が高い。海外でつくろうと思うと、特に合繊のプリントは、ストックからオーダーするのが現実的なんです。大手に比べてオーダーするメーター数がはるかに少なくても、小松精練さんの動き方は早い。海外では考えられないスピード感も、高い評価の理由なのでしょう。その証拠に、海外の仕事で生地を決める時に、先方から「小松精練さんにあたってみてくれないか」と言われることが多いんです。
The Liberty print was printed by Komatsu Seiren.
The colors look very delicate, and the quality of Komatsu Seiren’s technology is obvious at first glance. Komatsu Seiren is very reliable, from the speed of their service after you place your order to the delivery of the fabric, which is exactly as you imagined it. When deciding on fabrics for overseas jobs, I’m often asked to see whether Komatsu Seiren can make them.
今回のアイテムについて教えてください。
正直、花柄ってメンズには非常に難しいんです。特にアウターには。ほんとうに自分が着るかなと考えると、なかなか手を出しづらい。リバティの豊富なバリエーションの中から、ナイロンにプリントした時にいちばん着やすいものを探し抜きました。花柄でデザイン性の強いものをつくってしまうとアンバランスになってしまうので、前衛的ではなく、旅に出た時にコンパクトになるもの、という考え方にしました。自分がテーマにしている「旅」に花柄を取り入れようと。定番のブルゾンと、スイムウエアにもなリ、普段履きもできるショーツです。海外の仕事が多くなり、自分自身、移動の機会が多くなりました。その中でいちばん合理的なのがアウトドアウエアなわけです。コンフォータブルだし、たたんで小さくなるし。いちばんリラックスできるものがアウトドアウエアの良い所だと思っています。
Can you tell us about this item? It’s difficult to use floral prints for menswear, especially outer garments. If we had made something very design-oriented using a floral print, it wouldn’t have been well-balanced, so we turned it into sensible outerwear instead. It’s comfortable and can be compactly folded up. First and foremost, you can relax in it.
日本のものづくりについて、どうお考えでしょう?。
日本人は、ものづくりの第一歩、思いついたアイデアを具体的に形にする力が非常に強いと思います。海外ブランドに僕らがミーティングに行くと喜ばれます。一発で話が決まるからなんでしょうね。アバウトさがないからでしょう。僕もスタッフも、自分達の手を離れてからのことを考えようとしますから。縫う方が、もしかしたら日本語が通じない人かもしれない、というレベルまで。ポケットの細かいところを縫う時に、指示が曖昧なのは嫌いです。ファッションデザイナーには、ラフなスタイル画を描く人が多いのですが、僕は徹底してディテールを描きます。そして隣にいるパターンメイキングをするスタッフに細かく指示を出す。具体的な方が、安心感を持ってもらえるんです。日本のブランドが海外で成し得るには、そんな繊細な部分が必要じゃないかと思います。
What do you think about Japanese craftsmanship? Japanese have a great talent for putting the ideas they come up with into concrete form. There’s no imprecision. I draw my fashion plates in fastidious detail as well. Maybe those subtle details are necessary for Japanese brands to succeed overseas.
日本のものづくりの未来に、どんな景色が見えていますか?
ファッションに限らず、アジアの国々は、自分達がイニシャチブをとっていくんだという意識を非常に高く持っています。もしかしたら日本の特に僕らの世代は、上の世代の恩恵を受けて、便利になって何でも手に入る分、そういう気迫が足りないんじゃないかと思うんです。アジアの新興国がファッションに敏感になり、デザイナーが出てきたりしています。ある程度ライバル心や危機感をもちつつ、自分達が今までやってきた日本のベースにあるものをうまく使っていけば、また新しい日本のものづくりが見えてくる気がしますし、それを信じてやっていくしかないかなと思います。上の世代が築いてきたおかげで、日本のブランドは信頼度が高い。日本で面白いことをやっていれば、必然的に海外で新しいものを探している人たちに届けることが可能です。おこがましく言うつもりはありませんが、少しの行動が意外に大きいアクションになる実感があります。
What kind of outlook do you see for Japanese craftsmanship in the future? If we do interesting things in Japan, I think it's possible that people who are seeking new things in other countries will hear about them as a matter of course. My feeling is that small actions have surprisingly large effects.
大学でも教えていらっしゃいますね。繋いでいく才能としての学生たちは?
みんな現実的なんです。野心をもって十年先、二十年先、というよりも、どうやって社会人になるかを非常にセンシティブに考えている。それは、僕らの世代がきちんとした表現方法をしてないからなのかなとも思うんです。学生のうちは夢を見ていい。そういうことを自分たちのブランドが表現して、彼らにとっても憧れになっていればと思います。彼らは便利になり過ぎました。デジタルネイティブ達は、すぐにパソコンに向かってしまう。ものづくりって手を動かすことを忘れてしまうと、顔がいっしょになってしまう。そういうことを伝えていくことが重要だと思います。
You also teach at a university. What do you think about the students who are to carry on the tradition of Japanese craftsmanship? They're more concerned with how to earn a living than with being ambitious. They're digital natives who're always turning to their computers. But when it comes to making things, if you forget how to work with your hands, everything will end up looking the same. That's the kind of thing I want to teach them.
White Mountaineeringの今後について。
ブランドというよりもメーカーになってみたいんです。今、海外も、国内も含めて、仕事のオファーをいただいていますが、逆に自分達がWhite Mountaineeringで商品をつくってみたいというような。ブランドとしてそういうメーカーになっていければ、素晴らしいなと。小さなワンルームで始めたブランドですけど、徐々にものづくりのべーシックとしていって広がっていけば、面白い。ブランドの基本として、つくることをきちんと持っていたい、そう思います。
What does the future hold for White Mountaineering? I want us to become a manufacturer rather than a brand. I'd like the brand to be based on our determination to make things.
JAPAN SENSESについて、ご意見をいただけますか?
ミラノやパリの展示会で一緒になる海外の同世代、あるいはブランドを作り立てのデザイナーは、とにかく伊勢丹に取り扱ってもらいたい。日本のいちばんいいディーラーの一つだという感覚があります。海外からのファッションに興味があるお客さまも、日本に来たら伊勢丹に行くでしょう。日本の技術を使ったものを見せるフィールドとしては、非常にいいと思うんですね。集客力や海外からの評価というベースがある中で、日本というものを打ち出していく。日本でブランドをやってる僕としてもうれしいし、結果が出るやり方だろうと思います。
What is your opinion of JAPAN SENSES? As someone who runs a Japanese brand, I'm happy that Isetan, with its customer appeal and international reputation, is promoting Japanese products. It's an approach that will get results.
三越伊勢丹のメッセージ「変わる、その先へ。」は、どう響いていますか?伊勢丹のバイヤーさんからは、ブランドを初めて4シーズン目に声をかけていただきました。目標が形になったし、評価をいただいて。それをお店形態にしないかと言われた時には、正直、悩みました。自分達を買ってくれる伊勢丹のビジネスパートナーになれるのかと。その変化に自分たちがついていけるかと。一回断ったんです。でも、再オファーをいただいて。歴史があり、大きな企業が、僕らみたいな小さな企業に仕事を振って、新しい風をいれてみようとしていることはとても興味深く感じました。企業が変わる時には、シンプルにする、どんどんカットしていくことが多いですよね。僕はそぎ落とすのではなく、マックスな部分を取り入れたい。マックスがわからなければ、ミニマムもわからないからです。いろんなものをどんどん取り入れて前に進んでいきたい。変わり続けなければお客さまに飽きられてしまう。変わりすぎたらベースがなくなってしまう。そのバランスの見極めは重要だし、変わり続ける持続力も難しい。それでも持続的に変わり、新しくなっていく三越伊勢丹に期待したいです。
What resonance does Mitsukoshi Isetan's message, 'Ahead of change,' have for you? It's interesting that they're creating a breath of fresh air by giving jobs to small companies like us. I expect a lot from Mitsukoshi Isetan, which is always changing. I want to change as well, by assimilating as much as possible rather than eliminating things ? because if you don't understand the maximum you're capable of, you won't understand the minimum either. I want to move forward by continuing to assimilate a variety of new things.
ありがとうございました。 Thank you very much.
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